
震災から約1年。被災地の高校3年生にとっては、自分の将来だけでなく、家族、親戚、さらに町の将来についても考えなければならない、大変な1年間を送ってきたことでしょう。県立山田高等学校の3年生65名も新しい生活へ旅立とうとしています。
慣れ親しんできた町が大きく様変わりしてしまった中、家族、友人、近所の人たちとの別れは、言葉では言い表せないほど切ないものでしょう。山田町に残る人、進学や就職のため町を離れる人、進む道はバラバラでも、みんな山田町を想い、未来の山田町を背負っていく若者たちです。そんな彼らの新生活を少しでも応援できればと、FIDRは3月2日の卒業式の日、卒業生の皆さんのうちの希望する方に、炊飯器やポットを贈りました。
「すごく嬉しい」「本当にこんなに貰ってもいいの?」など、卒業生からは喜びの声が聞かれました。卒業式にみえたお母様は、「本当に助かりました。自分の家のものさえもすべて無くなってしまい、息子の新生活に新品の道具をそろえてあげられないのではないかとずっと不安でした」とおっしゃっていました。
2年生の女子2人がお手伝いをしてくれたため、スムーズに卒業生に手渡すことができました。地元の期待を一身に背負った卒業生たちが新しい環境で活躍し、復興へ向けて歩み始めた山田町に、活力を与えてくれることを切に願っています。
仮設住宅や「みなし仮設住宅」(※1)に入居せず、自宅を修繕するなどして自力で生活を立て直そうとしている「在宅被災者」には、これまで行政や民間団体などからの支援がほとんどなく、支援の大きな差が生じていることが問題となっています。
FIDRは、暖房器具を失った岩手県の在宅被災者に対し、石油ファンヒーターを提供することにしました。
これまで約2,200戸(山田町、宮古市、野田村、久慈市)の在宅被災者に石油ファンヒーターの配布を完了。現在、 陸前高田市、大船渡市、住田町、釜石市の 約1,700戸の在宅被災者に対応しています。
朝晩は凍りつくような厳しい寒さとなる岩手県沿岸部。これからさらに寒さが増していきます。被災者の皆さんがこの冬を無事に越すことができるよう、FIDRは支援を続けていきます。
(※1)国と県が被災者の入居費用や家賃を補助する民間賃貸住宅。
沿岸部に位置しているため、津波によって甚大な被害を受けた岩手県山田町。震災発生直後から、FIDRが継続して様々な支援をしている支援対象地域のひとつです。同町では、避難所への食料品・日用品の配布に始まり、これまでに扇風機や掃除機などを仮設住宅に提供してきました。
9月2日(金)、FIDRは、山崎製パン(株)にご協力いただき、岩手県山田町の仮設住宅26ヶ所(合計941戸)に、石油ストーブ、洗濯石鹸、お皿、食パンを届けました。お皿と食パンは山崎製パン(株)から、無償でご提供いただいたものです。また、これらの物資は、同社にご協力いただいたトラック5台により、物資集積所から各仮設住宅へ運搬されました。当日は、山崎製パン(株)の全国各事業所から社員の皆さん21名が、ボランティアとして各仮設住宅へ支援物資の配布をしてくださいました。
支援物資を配布した直後、仮設住宅に入居されている方のご家族から、「大変ありがたい支援でした」と、直接東京事務所宛にお電話をいただいたり、仮設住宅にお住まいの方からお手紙をいただきました。
仮設住宅の完成と、被災者の方々の入居が続く岩手県沿岸部。
FIDRは、宮古市を皮切りとして、8市町村(洋野町、久慈市、野田村、田野畑村、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町)の仮設住宅と公営・民間住宅に入居する世帯(約6,800戸) に、扇風機、掃除機、石油ストーブ等の家電を提供しています。
7月中旬には、山田町で最大規模であり174世帯が入居する仮設住宅団地に、扇風機、掃除機、さらに冬に備えて石油ストーブを提供しました。
気温30度を超す炎天下にも関わらず、約40人のボランティアさんの協力により、大型トラック4台分の支援物資を、全世帯に確実に手渡すことができました。入居者の皆さんは支援物資に喜んでくれただけでなく、協力してくれた日本体育大学学生のハツラツとした動きと挨拶に、「とにかくなんとかしたい、力になりたい」という熱い想いも一緒に受け取ってくれたようでした。入居者の方から、お礼としてジュースやアイスクリームをいただいて喜んでいた、大学生の笑顔が印象的でした。
今後も、仮設住宅等への入居時期にあわせ、入居者の皆さんのもとに、生活に必要な物資を速やかに届けていきます。
5月30日、岩手県宮古市愛宕地区にできた仮設住宅に入居した方々へ、電気ポットを届けました。当初予定した配布方法では、集会所に皆さんに来ていただいて、受け取ってもらう予定でしたが、折悪しく台風の影響で天候は大荒れ。集会所に来るのは難しいと判断し、FIDR職員が全81世帯を訪問して、直接手渡すこととしました。
皆さんとても喜ばれ、「一軒一軒届けてくれてご苦労さまです。どうもありがとう。」と、お菓子や栄養ドリンクをいただくこともありました。また、部屋の中まで招いてくれて、さっそく電気ポットでお茶まで入れてくれたお宅もあり、入居者の皆さんとじっくりお話しすることができました。
「これまでの人生、なるべく人様に頼らないように、迷惑をかけないように生きてきました。でも今だけは、全国の皆さんからの支援に、少しだけ甘えさせてもらってもいいのかなと最近思っています。自分の生活が落ち着いた時には、大したことは何もできないかもしれませんが、その時に災害などで困っている人たちを助けることで、いつか必ずこの恩返しをしたいと思います。」と話してくれた方がいました。
「今は遠慮しないで、たくさん甘えてもいいと思いますよ。」と言うと、少しほっとしたように微笑んでくれました。東北の人の遠慮深く、義理堅い、人情に満ちた人柄を垣間見た一日でした。