2013年12月10日
点検・訓練が重要!「簡易水道消火装置」
FIDRは昨年、岩手県山田町と大槌町の合わせて20か所の仮設住宅団地に、「簡易水道消火装置(街かど消火栓)」の設置を支援しました。これは、消防車が到着するまでの間に、手近な水道を用いて、住民の方が初期消火活動を行う設備で、住民の方々が自ら安全を確保できるよう支援したものです。
12月上旬、大槌町小槌第8仮設団地等でこの「簡易水道消火装置」の点検を兼ねた取り扱い説明会が行われました。
当日は木枯らしの吹く天候でしたが、住民の皆さんは、寒さに耐えながら消火装置の操作の説明を真剣に聞かれていました。説明を受けた後、参加者全員が順番に放水を体験し、女性でも簡単に扱えることを確認しました。「思ったより簡単」「水圧がそんなに強くないので軽く簡単に扱える」と使い勝手の良さに皆さん安心されたようです。
この団地の自治会副会長の芳賀さんは「点検・訓練をやっているか、いないかが初期消火で重要になる。今日の説明会で皆さんに使い方を分かってほしい」と、住民の皆さんに話しておられました。
備えあれば、憂いなし。実際に消火作業にあたる時がないことを願い、点検・訓練は終了しました。今後、配備したすべての仮設住宅団地で点検・訓練が行われる予定です。
簡易水道消火装置について説明する芳賀さん
2013年6月26日
「自分の命は自分たちで守る」〜自治会が自主防災訓練を実施
山田町の関谷担い手仮設団地は、入居者約160人(78世帯)と山田町の中でも規模が大きい仮設住宅団地で、一昨年前にFIDRが自治会立ち上げを支援してから、積極的に活動を展開し、住民同士のつながりを強めています。
6月23日には、年2回行っている自主防災訓練の第4回目が実施されました。
「この仮設団地は、川に隣接して建設されている。地震・津波はもちろん水害・火災にも備えなければならない。災害の状況を速やかなに把握し対応することが重要だ」と自治会長さんが話してくださいました。
本番さながらの避難訓練で、防災委員長の「訓練、大津波警報発令!」の声とともに、役員が手分けして各班に情報の伝達と避難指示を行いました。各棟の班長の点呼の後、幼児からお年寄りまで参加者53人が徒歩または歩行困難者用救急リヤカー2台に分乗し、自治会が指定した500m先の高台にある避難場所を目指しました。
「避難の訓練をして、自分の命は自分で守らなきゃね」と参加した80代の方。子どもがいる方も「避難場所と経路が確認できて良かった」とおっしゃっていました。
避難訓練の後、昨年にFIDRの支援で配備した「街かど消火栓」(簡易水道消火装置)の点検を兼ねて消火訓練も行いました。「思ったより簡単」「軽いので簡単に扱える」と使い勝手の良さに皆さん安心されたようです。
このように活気ある自治会の活動を見るたびに、「自立心」と「助け合い精神」が復興に向けた大きな力になるものと実感します。
避難集結場所へ避難
簡易水道消火栓を使用しての消火訓練
2013年4月12日
「あの日から明日に向かって〜東日本大震災・山田の記録〜」が発刊されました
平成25年3月11日――震災から丸2年経ったこの日、山田町の震災写真集が発売になりました。昨年11月に町の有志の方から「今後の防災教育のためにも、山田の震災を記録した写真集を出したいから協力してほしい」との言葉を受けたFIDRは、写真の収集および編集、発行をお手伝いしました。
町内外の方々から1000枚を超える写真の提供がありました。
震災当日に津波から逃げる時に携帯電話で撮影したものや、避難先の建物から写したもの、津波が引いた後におきた火災の様子、身内を捜していた時に写したものなど、いずれも貴重な光景で、写真集に掲載する写真を選ぶのに大変苦労しました。地元の編集委員の中には、当時を思い出して言葉少なになる方もいらっしゃいました。
この写真集は震災の様子だけではなく、震災前の美しい山田町の風景や、震災後に町外から支援に来てくださった方々の写真も載せたので町民の方々に大変よろこばれました。震災後の山田町しかご存じない方にも、山田にはこんなきれいな場所もあったということがわかる写真集になっていると思います。
おかげさまで3月11日の発売から1か月もしないうちに増刷が決まりました。皆さんに支援していただいた山田は少しずつ前進しています。
2012年10月24日
防災避難訓練「大事なのは命」
10月14日、関谷担い手仮設住宅で防災避難訓練が行われました。ここは、80世帯と山田町の中でも規模が大きい仮設住宅団地です。
「訓練です。大津波警報が当地区に発令されました」防犯部長の呼び声とともに子どもからお年寄りまで総勢60名の住民の方々が集合場所に集まってきました。各棟の班長の点呼の後、1列に並んで500m先の高台にある避難場所を目指しました。
徒歩での移動が困難な方のために、座布団を敷いたリヤカーを用意しました
先の大津波では避難に車を使ったため、いたる所で渋滞が発生し、結果として犠牲者を出してしまったという反省があります。
「大事なのは命」と、今回、徒歩での避難が選択されました。
80代の方は「今住んでいる仮設住宅の場所にも津波が来たから、避難の訓練をしておかないとね」。子どもがいる方も「避難場所の確認ができて良かった」とおっしゃってました。
避難訓練の後は、FIDRが支援した「簡易水道消火装置」の実地訓練を行いました。防火水槽のないこの地区では、消防車が来て、消火作業が始まるまでに時間がかかる不安があるため、簡易水道消火装置で住民自身が初期消火をできるようにしておくことは大切です。
「思ったより簡単」
「足が悪くても使える」
「水圧がそんなに強くないので軽い」
使い勝手の良さに皆さん安心されたようです。
備えあれば、憂いなし。実際に避難したり消火作業にあたる時がないことを願いつつ、無事、訓練は終了しました。
実地訓練の様子
2012年8月23日
いざ、というときの備えが肝心!
〜仮設住宅へ簡易水道消火装置を設置しました
今回FIDRは、山田町と大槌町の仮設住宅団地、各10か所へ「簡易水道消火装置(街かど消火栓)」を提供しました。
設置された「簡易水道消火栓(街かど消火栓)」
町の中心部から遠くに点在する仮設住宅団地は、火災が起きたとき、消防車の到着まで時間を要する上、隘路を消防車両が通過できないところもあります。また、棟続きの構造は、延焼しやすいという不安を抱えています。各仮設住宅団地には、手動の消火器が備えられていますが、これは約15秒噴射する能力しかありません。
今回設置した消火装置は、水が粒となって拡散するため、消防車を待つ間の初期消火や延焼防止を効果的かつ持続的に行えます。どこでも使えるように、洗濯機用水道蛇口からの取水や、移動用カートとの一体化といった仮設住宅で使用するための特別な工夫がされています。
取扱い説明会は、7月31日に山田町、8月1日に大槌町の各3か所で行われ、設置される仮設住宅団地の代表の方が集まりました。東北とはいえ、厳しい炎天下での説明会。参加者全員、日陰に隠れても滝のような汗をかきながら、操作の説明を真剣に聞かれていました。演習では、参加者全員が順番に放水を体験し、女性でも簡単に扱えることを感得しました。
万が一の備えに安心感を覚えた皆さんは、説明会の終了後、防災訓練をいつ実施しようかと相談されていました。
勾配の急な土地に並ぶ仮設住宅。
参加された大槌町消防署職員も放水の威力を確認
2012年4月10日
山田町のバス停留所に待合室を設置しました
山田町では、津波により駅や線路が被災したため、現在は住民にとってバスが最も重要な公共の足。国道45号線沿いの町の中心部、役場の近くに位置している「山田中央町」停留所は、岩手県北バスが毎日30便ほど停車します。一日に平均して200人もの利用者がありますが、待合室はありませんでした。周囲の建物が津波でほとんど無くなってしまったため、お年寄りや中高生が、海から吹きすさぶ強風や雨雪の中でバスを待つ姿がありました。
これを目にした町民の方から「簡単なテントでもよいので支援してもらえないか。地権者とは自分が交渉する。とにかく気の毒で見ていられない」と、FIDRへ支援要請がありました。
FIDRは安全性や耐久性を考慮し、バス待合室は降雪地仕様のボックス型としました。同停留所の宮古方面のりばと大槌方面のりばに1基ずつ設置することにしました。
4月から新生活を迎える新入生や新社会人のために急ピッチで工事を進め、4月5日に完成記念式典を行うことができました。
バス待合室の前にて。(左から)北日本銀行高野光一山田支店長、岩手県北バス鈴木拓副社長、沼崎喜一町長、FIDR江川信彦常務理事、利用者代表の齊藤秀喜さん
山田町長の沼崎喜一氏、岩手県北バス鈴木拓副社長、地権者の北日本銀行高野光一支店長、利用者代表(発案者)の齋藤秀喜さん、FIDR江川信彦常務理事がテープカットを行いました。このバス待合室を建設してくださった地元の業者の藤沢組と、FIDRのプレートを作成してくださった同じく地元のヤマダ看板のそれぞれの代表者にも参加いただきました。
FIDRの仲立ちで企業から山田町へ無償で貸与していただいたソーラーライト2基もこの停留所に設置しました。町内に街灯がまだ少なく夜間は真っ暗となるため、停留所を利用する女子の安全が懸念されるためです。
利用者の方々からは「待合室の中は暖かくて本当に助かる。こんなに立派なものを建てていただきありがとうございます」という言葉をいただきました。式典後には宮古方面行きのバスを全員で手を振って見送りました。
この待合室が、雨風を避けるだけでなく、町民の方々の笑顔を繋ぐひとときを提供することを願っています。
待合室とソーラーライト
バスの出発をお見送り